トンネルの中って黄色い照明が使用されていることって多いですよね。あれなぜ?の疑問に迫ります。
黄色の正体
あの黄色い照明は「低圧ナトリウム灯」といいます。
中学生のとき、
「リアカーなき・・・(Li:赤、Na:黄)」って習いましたね。
それにしてもなぜナトリウム灯使うのかという疑問は消えませんよね。追求します。
人間の眼の見え方
比視感度
眼の見え方というのは、光の波長によって異なります。同じエネルギーの光を見たときに最も明るく見える光は、波長555nmの時です。色としては緑に当たります。
この時の明るさ感を1とした時の他の波長の光の明るさ感を相対値で表したものを比視感度と言います。
また、標準的な比視感度は以下の図のように示されます。
つまり緑や黄色のあたりの色の光であれば、同じエネルギーで光を発生させたとしても明るく感じるということです。つまり、電力に対する明るさの効率が良い。
ただ、このグラフを見た感じだと、「緑の光でもよくないか?」と思いませんか?
炎色反応で緑の光を出す物質といえば、
バリウム(Ba)【黄緑色】やホウ素(B)【緑】、タリウム(Tl)【淡緑】。
補足ですが炎色反応とは、文字通り高温で熱したときに起こる反応のことです。
エネルギー準位などを知っている前提で説明すると、高温で熱したときに高エネルギー準位に電子が励起し、その電子が基底状態に戻るとき(青矢印)に光を発します。このエネルギー準位の差が波長*プランク定数となり波長に応じた光の色が見えてくるというわけです。
これで、緑か黄色の光が良さそうなことは分かりました。
しかし、電力に対する効率がいかにいいといえども、普段白に近い電灯を使用している私たちにとって黄色い光というのは快適なものではない。
したがって、緑または黄色であったほうがいいという理由が他にあるはずです。追求します。
色収差
収差:光束が一点には集まらないこと。→収まる位置に差があるから収差?
波長によって焦点距離が異なります。これは波長によって屈折率の違いが生じる色分散と呼ばれるものです。屈折率が違うと屈折する角度が異なるので、下図のようになります。
実際人間は、脳でその収差を補正できたりするとは言われております。
が、メガネの度が合ってるか確認するために眼科にて視力検査をしたとき、
「緑と赤のどちらがはっきり見えますか?」
という質問ありますよね。
あれはこの色収差を見ることによって過矯正になっていないかを見るものです。
なので、脳で補正できるといえども完全にとはいえません。
したがって、単色光であるため色収差が生じることが少ないナトリウム灯が望ましい。 なぜ緑色ではダメなのか、これは資源量とコスト、物質の性質に起因します。
以上がトンネルの光が黄色である理由です。